新産業促進検討会, 最新活動報告

農商工連携勉強会 大阪開催 産業技術を活用したこれからの農業のあり方 2014年10月15日

モノづくり日本会議(事務局=日刊工業新聞社)は2014年10月15日、大阪市中央区の日刊工業新聞社大阪支社内で農商工連携勉強会「産業技術を活用したこれからの農業のあり方」を開いた。農林水産省は産業界の力を積極活用して農業生産のコスト削減や、農業経営の新しいビジネスモデル開発などを目指す「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」(先端モデル事業)を展開している。そこで、小柳豊憲農水省経営広報企画官による施策紹介、先端モデル事業の委託先事業者である新日本有限責任監査法人の原誠エグゼクティブディレクターによる採択案件の傾向分析と併せて、採択プロジェクトの事例報告を通じて、農業界と産業界との今後の連携の姿を探った。

パワーバリアレスへの挑戦

重量野菜収穫・運搬 腰への負担軽減

アクティブリンク社長 藤本弘道氏
 
当社は2003年の創業以来、パワーアシストスーツを通じ、年齢・性別に左右されず働けるパワーバリアレス社会を目指している。用途は農業、物流、建築、土木、災害救助、モノづくりなど。医療・福祉以外の汎用分野が対象だ。
 
先端モデル事業は、サツマイモ、スイカ、メロンを生産するフィールドワークス、サトイモが主力の上田農園と組んで「重量野菜等の収穫作業における多様な動きに対応した、実用的な『農業用アシストスーツ』の開発・実証」に取り組んでいる。パートナーが生産する重量野菜の収穫は全て手作業。畑でコンテナに入れ、軽トラックに積み込んで運び出す。
 

産業技術を活用した農業の事例報告を通じて、
農業界と産業界との今後の連携の姿を探った

当社のアシストスーツ「AWN―02」は重量物を運ぶ際に腰への負担を軽減するために開発した。装置重量は7キログラムで、15キログラムのアシスト力を有する。アシストモード、姿勢を保持するラチェットモード、力をかけない歩行モードの3モードはセンサーを通じてシームレスで切り替わる。腰の保護が目的なので、腕の負担は変わらない。
 
装着した人からは、中腰やちょっと変な姿勢でものを持ち上げるときの腰の負担が減ると、高評価を得られている。試験用装置はLサイズだけだったので、サイズが合わない女性は「じゃま」という感想だった。
 
収穫作業の連続性から、装置を装着したまま軽トラックを運転した際に、バッテリーなどの出っ張りが運転姿勢を崩してしまうなど、改良すべき点も洗い出された。
 
AWN―02は15年秋から、まず物流、工場向けに量産に入る。また、上半身・下半身をアシストするモデルは17年の投入を目指す。装置のバランスを見直して傾斜地でも使いやすくして、林業や災害救助などに適用できるようにしたい。

産業界で活用されている制御システム技術の農業分野への応用例

超微細気泡発生技術の効果検証

IDECシステムズ&コントロールズ環境・エネルギー事業 技術統括 石田芳明氏
 
当社は各種制御機器・システムの製造・販売を行うIDECの100%出資の子会社で、環境ビジネスについてメガソーラー、土壌浄化、農業という三つの柱で展開している。IDECには超微細気泡発生技術「GALF」という独自の流体制御技術がある。GALFによって生成される溶存酸素量が高い状態の水を栽培に使ってみようとの考えだ。
 
先端モデル事業のテーマは「高溶存酸素のファインバブル水を用いたトマトの活性コントロールによる養液土壌栽培手法の確立」。農業生産法人のサングレイスがトマトを栽培し、生育状態の情報収集・分析を担当、IDECは装置の設計・製造、当社はシステム照合の取りまとめと設置というチームだ。
 
ハウス栽培のトマトは8月に定植する。サングレイスでは2年前からGALFを導入してテストしてきた。1年目は11月ごろから、2年目は8月の定植後からGALFを使った。その結果として明らかに木が茂り過ぎたりなど、樹勢に違いが出てきて、収量などに違いがあった。
 
どうやらGALFを使うにはタイミングがあるようだ。目下、日射量、温・湿度、土中温度、水分、溶存酸素量など、多くの環境データを見ながら、GALFの効果的な運用方法を探っている。
 
ウルトラファインバブルがどう作用するのかメカニズムはまだよく分かっていないものの、レタス、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナの栽培でも、いずれもGALFを用いると生育がよいことは確認されている。
 
我々の制御技術を活用し、灌水や施肥を最適化することで収入増・安定化を図ることができるだろう。これを普及させることで、日本の農業の競争力を向上させていきたいと考えている。