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モノづくりフェア2014 in 福岡 「モノづくりの底力! 全国町工場サミット」 2014年10月15日

モノづくり日本会議は2014年10月15日、福岡市博多区のマリンメッセ福岡で「モノづくりの底力! 全国町工場サミット」を開いた。「モノづくりフェア2014」(日刊工業新聞社主催)の併催イベントで、中小製造業集積地の技術を世界に発信した二つのプロジェクト、「下町ボブスレー」(東京・大田)、「まいど1号」(大阪・東大阪)の各代表者が、協業が成功したストーリーを披露した。

東西プロジェクトに脚光

地域性の強み協業で発信 細貝氏
「まいど1号」で会社も変化 杦本氏

下町ボブスレーネットワークプロジェクト 
ゼネラルマネージャー兼広報委員長(マテリアル社長) 細貝淳一氏


宇宙開発協同組合SOHLA理事長(大日電子社長) 杦本日出夫氏


コーディネーター
政策研究大学院大学 名誉教授 橋本久義氏


◆橋本 今日は中小企業が協業で世界に発信している取り組みを、東京・大田区と東大阪からいらしたお二人に紹介していただく。まずそれぞれの開発の経緯などを。
▲細貝 東大阪の「まいど1号」をテレビなどで見て、東大阪の協業の素晴らしさを感じた。東京では墨田の深海探査ロボット「江戸っ子1号」に先を越されていた。二つの協業の先輩方の知恵を借りながら、自分たちの地域性の強みを出そうと考えた。
 
大田区にはバブルの頃には1万社近くの町工場があったが今は半減している。我々は何をすればいいかと思った時、航空機産業が将来有望と感じたが、当時大田区で炭素繊維の技術を持つ会社はゼロだった。そこで炭素繊維と金属について、自分たちで作りながら学べば楽しさにつながると思った。それらが使われるボブスレーでオリンピックを目指したが、ソチ五輪には出場できなかった。だがテレビや新聞に取り上げられ15億円の宣伝効果があったと見込んでいる。
 
炭素繊維や流動解析などは東レなど大手に協力していただいた。加工は我々中小企業がただでやろう、と志を持って集まり、最初は27社、2号機、3号機を作ることには120社も参加した。お金がなくても気持ちとストーリーがあれば人間の共感を得られる。今200社以上のネットワークができつつあり、大田区の復活の兆しも見えてきた。これを4000社全部が協力するプロジェクトにし、今後のオリンピックでメダルを目指す。
 

▲杦本 東大阪も1万2000社の中小・零細企業が集まっていたが、バブル以降半減し、危機感を持った。若者が集まるように考えたのが人工衛星「まいど1号」だ。当初は組合名に「東大阪」とつけていたが、関西一円の中小が仲間になるようにはずした。
 
海外メディアにも取り上げられ小学校の社会科の教科書にも掲載された。ただ一発で終わってはいけないと考え、人型ロボットで月に挑戦しようとしている。
 
また自分の会社は宇宙の機器を作ったことはなかったが、宇宙環境に対応できる技術とわかり、国際宇宙ステーションの雷観測センサーの受注も得た。社員人の会社だが新たな販路もでき、社員たち自身もちゃんとしなければと思うようになり、いろんな面で会社が変わった。
 
◆橋本 ターニングポイントもあったと思うが。
▲細貝 自分は4月にプロジェクト委員長を交代した。船頭が変われば流れも変わる。今は前に出ず後ろから支援しようと考えている。できない仕事はみんなで考えよう、といった雰囲気もできてきている。
 
▲杦本 中小企業が主導するやり方と、人工衛星の場合JAXAが主導するやり方とではやはり異なる。JAXAの衛星作りを学びながらも、中小企業としての取り組みも大切だと感じた。またNEDOから研究資金を出してもらったこともあり、お金の管理もなかなか大変だった。
 
◆橋本 プロジェクトの中で得られたものは大きいと感じる。
▲細貝 自分は「かもしれないだろう」という言葉をいっさいなくそうと考えた。聞き流すのでなく、自分のブレーンには必ずはっきり言う。これは社員教育にも生かしている。それから人と人との出会いが自分を成長させてくれた。経営者は社員が育つ環境を整備していくのが大きな役割だ。
▲杦本 やはりどこへでも出て行き、いろいろな人と出会い、その姿を見ることが自分の成長につながる。外に出て得た直感を大切にしたい。「チャンスは座して待っても訪れない」が私の座右の銘だ。どんどん人に会えば、相手の目を見た時に、自分にどういう感じを持っているかを理解できるようになるはずだ。
 
◆橋本 私の経済産業省時代の先輩に言われた言葉に「これはと思う人がいたら、週3回会うようにしなさい」というのがあった。私も同感で、半年に1回会っても相手は忘れてしまうかもしれない。皆さんも仲間を増やしていって、電話一本でいろいろ聞けるような人をどんどんつくってもらいたい。

ビジネスセミナー

標準化をビジネスツールに!~標準を制するものが市場を制す~

日刊工業新聞社は日本規格協会、モノづくり日本会議と共催で10月17日、マリンメッセ福岡で標準化活用ビジネスセミナー「標準化をビジネスツールに! 標準を制するものが市場を制す in福岡」を開いた。モノづくりフェア2014の併催イベント。標準化によってグローバル展開を目指す日本企業を支援する経済産業省の施策や、業界団体・個別企業の取り組みなどが紹介された。

標準化をビジネスツールに!
迅速な標準化提案を支援

経済産業省 産業技術環境局基準認証 政策課基準認証 
広報室長 松原浩司氏

1990年代に世界貿易機関(WTO)において、国際規格がある場合それに基づいて調達しなければならないと義務づけられた。
 
国際規格は基本的に提案方式で作られていく。例えば企業が保有する新技術や優れた製品が市場で際だつような評価基準や品質基準などの標準化を提案して標準化することで、市場での差別化や低品質品の排除などを可能にする。
 
標準化の活用によって、自社の技術や製品の市場での信頼性が向上し、その速やかな普及の可能性が高まる。IDECの3ポジションイネーブルスイッチや大成プラスの異種材料複合体のような成功事例がある。
 
経済産業省では5月にとりまとめた標準化官民戦略に基づき、企業の規模にかかわらず、一企業だけが有する新技術や複数の産業団体にまたがるような融合技術などの標準化を迅速に進めるための新しい標準化制度として「新市場創造型標準化制度」を7月に創設した。具体的には、一定の要件の下で日本規格協会が規格原案の作成や国内審議、国際標準化提案を支援する。「こういう新技術があるぞ」といった標準化シーズを是非、経済産業省に相談していただきたい。日本発の新しい技術や優れた技術を迅速に市場投入することで、グローバル規模での様々な経済社会的な課題解決に貢献するとともに、日本の発展を促進したいと考えている。

ばね業界の標準化
規格作りアジアとも連携

東郷製作所 社長 相羽繁生氏

日本ばね工業会(JSMA)で標準化会議議長という標準化の責任者を務めている。日本ばね工業会の会員数は222社で、標準化会議には線ばね、板ばねなど四つの部会がある。標準化には政府や日本規格協会など関係機関の支援を受け、技術的には、日本ばね学会のバックアップを受けている。
 
対外的な連携も進めていて、欧州ばね連合会(ESF)、北米ばね工業会(SMI)と交流を深めている。またアジア諸国との連携では各国のバネ会社に直接標準化活動への参画を依頼している。用語共通化のためにアジア6カ国の用語辞典も2004年に作った。
 
標準化会議(設立当初の1998年は標準化委員会)は01年から04年に40のJSMA規格を追加した。まず規格を整備しないと欧米に対し発言できないと考えたからで、どういう製品のどういう規格項目を作るべきかというアンケートも会員に行った。JSMAは経営者の集まりで、標準化が欧米主導で進むと日本に不利になるのでは、という危機感を持って取り組んでいる。
 
国際協調も必要だが、一方で国際会議などの場では日本がリーダーシップをとり、ビジネスプランをコントロールしていきたい。また今後はアジアからの参加を呼び掛けるなどして仲間を増やし、アジアの事情を反映した規格作りを進めていきたい。

国際標準を活用する事業戦略
高い志を持って挑戦

安川コントロール 技術渉外担当  濱田健次郎氏

当社が提案したパワーリードスイッチの安全技術に関する国際電気標準会議(IEC)国際標準化は、公共性の高い鉄道・電力・昇降機設備から産業機械類などの安全装置、防爆機器に用いられる安全性を左右する重要な磁気駆動のスイッチングデバイスに適用するもの。社会の安全性確保に大きく貢献し波及効果は大きい。
 
制定した国際規格は各国の規格に普及して認知度向上につながるため、わが国のインフラ輸出の拡大にも貢献できる。
 
自社の事業を海外に展開するには、実績と製品を定義して評価する国際標準規格がなければ、顧客はまったく興味を示さない。標準化されていなければ戦う土俵に上がれない。
 
これが事業の海外戦略に国際標準化を取り入れた理由である。今後は国際標準を有効活用した新製品の開発と立体商標登録など知的財産権の確保に取り組むとともに、これまで以上に産業機械を対象とした災害防止対策への活用も進めたい。
 
国際標準に挑戦する場合は、まず使用者側や産学官連携で委員会を立ち上げ、日本の代表となったら国を超えた仲間づくりが必要となる。さらに国際会議の場で日本としての意見を堂々と提案しないと進まない。国際標準化は3年以上はかかるので、高い志をもってやりきる覚悟がなければならないだろう。