その他事業, 最新活動報告

一日中小企業庁 in わかやま 挑戦する中小企業を応援する~和歌山から日本、そして世界へ~ 2014年10月31日

和歌山県と中小企業庁、近畿経済産業局主催の「一日中小企業庁inわかやま」が2014年10月31日、和歌山市のアバローム紀の国で開かれた。中小企業庁が施策を紹介したほか、モノづくり日本会議共催のフォーラムでは地元中小企業を中心に意見交換が行われた。また中小企業基盤整備機構近畿本部主催(和歌山県・近畿経済産業局・モノづくり日本会議共催)の中小機構フォーラムでは数多くの中小企業を取材する中沢孝夫福山大学経済学部教授が講演するなど、300人の参加者がさまざまなプログラムに参加した。

中小向け振興施策一覧作成

和歌山県知事 仁坂吉伸氏

和歌山はモノづくりを中心に中小企業の活動の盛んなところだ。和歌山の原動力は何と言っても中小企業である。県もさまざまな施策を講じていて、伸びようとする企業が増えている。頑張っている企業に今日は多く集まっていただいた。
 
現在の政権では経済政策が大きく変わり円安も進んでいる。しかし円安による輸入原料高はなかなか価格転嫁が進まず、下請けや材料提供が多い地方圏の活性化につながっていない面もある。これはぜひ政府も価格転嫁が進むようテコ入れをしていただきたい。
 
県でも施策を進めているが、国が直接進める各種施策についてもちゃんと情報を取り、企業の皆さまにアドバイスする。中小企業向けに振興施策一覧を作り、県だけでなく国や日本貿易振興機構(ジェトロ)、金融機関の情報も伝わるようつとめている。
 
まだまだ努力しなければならないが、和歌山の全員で前向きに取り組んでいきたい。

施策紹介   小規模事業者支援を拡充

中小企業庁長官 北川慎介氏

北川慎介長官は「地域の活性化と小規模企業の支援をしっかりやろうと施策を進めている。またモノづくり、サービス業をはじめとする企業活動のイノベーションにも取り組む。今日は多くの企業に集まっていただいたので、和歌山の現状や、中小企業庁がどう施策を進めていくべきか、といったお話も伺いたい」とあいさつした。
 
具体的な施策については小林利典中小企業庁次長が説明した。「和歌山県は機械部品の製造からフルーツを生かしたさまざまな商品、多くの観光資源と幅広い業種の中小企業群があるのが特徴。ローカルアベノミクスという言葉があるが、地域の中小企業の活性化が日本経済を支える正念場に来ている」とした上で、まず小規模事業者の支援について挙げた。今年成立した小規模企業振興基本法で、地域密着型の事業を行う小規模事業者の支援を拡充している。商工会、商工会議所の事業への支援を抜本的に強化したほか、モノづくりについての補助金や、よろず支援拠点の活用についても呼びかけた。
 
地域の中小企業の活性化については、豊富な地域資源に恵まれている和歌山県を引き合いに出し、県が指定した資源を地域ぐるみで地域ブランド化する戦略の重要性を説いた。連携事業についての支援の幅も広げる。ベンチャー支援は、官公需を積極的に活用していくほか、創業補助金なども使い支援する。
 
仁坂知事が挙げた原材料・エネルギーのコストアップに伴う価格転嫁についても750の業界団体に要請文を発出している。小林次長は「中小企業施策は非常に幅広く、手続きが厄介だという声もいただく。こうした場でも是非意見や要請を伺いたい」とした。

中小機構フォーラム 特別講演

伸びる企業の事例に学ぶ 成長への転換点
素材・サービス新領域に挑戦を

福山大学経済学部教授 中沢孝夫氏

よく中小企業問題というが、規模だけが原因なのか、景気や流通、業界そのものの変化といった外的状況が大きいのかをきちんと考えなければならない。地方の景気回復の立ち上がりが遅い、ともよく言われるが実は中小企業が密集しているところは回復力がある。
 
全国の中小企業に話を伺うが、中小企業の経営資源は基本的に社長であり、二代目さんだ。彼らが中心となり、じっとしていないであちこち出かけていく。そして価格以外にも付加価値のある仕事を積極的に考える。
 
ただ、製造業とサービス業では付加価値のつけ方が異なる。モノづくりは在庫が利くし、遠くまでデリバリーできる。一方でサービスは、発生したところでサービスする以外にない。ただ、商品を企画してから現実に製造、販売しアフターサービスするまでの流れ全体をモノづくりと見ると、製造業とサービス業を分けるのは意味がない、という意見もある。
 
日本が今一番強いのは部品や素材といった中間財の部分。企業と取引しているBツーBの加工業は競争力を持てば十分国内でやっていける。パソコンでも台数の少ない機種の分野はリードタイム、賃金格差、輸送費などを考えると日本国内に回帰している。携帯電話も主要部品が日本製で代替がきかないものが多いし、半導体にしても日本は負けているといわれるが材料そのものは日本が圧倒的に強い。
 
製造装置を自分たちで開発しているところも強い。東芝のフラッシュメモリーが好例だ。トヨタにしても海外展開する際に、国内各工場から吸い上げて製造の最適な手順を作ってきた。ただこれには時間をかけている。簡単に移転できないプロセスを持っていること自体が強みなのだ。
 
BツーBが強いと述べたが、大手家電メーカーなどが最終消費財から手を引きつつ輸送機械などで企業間取引を拡大している例もある。中間財でBツーBを展開すれば世界中に取引先が拡大し、国内マーケットを考えずにすむ。さらに新しい素材やサービスの開発の可能性も増えている。中小企業はこうした新しい領域に飛び込んでいかなければならない。悩んでいても始まらない。伸びる会社は必ず手足を動かして何かを始めている。

中小企業フォーラム

起業時にも制度活用
支援事業 工場建設・ブランド強化に生かす

■農業総合研究所 社長 及川智正氏
■アイエムティー 社長 森川要氏
■ふみこ農園 社長 成戸文子氏
■風神莫大小 社長 風神昌哉氏
■インテリックス 社長 木村明人氏

コーディネーター
和歌山県よろず支援拠点コーディネーター 井上禎氏


◆井上 皆さまが支援策をどう成果に結びつけたかなどを伺いたい。
▲木村 当社はオーダーカーテンを中心とした窓装飾に絞った製造直販型の企業だ。脱サラしてオーダーカーテンの縫製を5、6人で始めた。後に新工場を建てる資金繰りを金融機関に相談し、和歌山市の企業立地課を訪問した。親切に説明してもらい企業立地の奨励金をいただいた。県の企業ソムリエの認定企業にもなった。結果を出す必要があるので、当社にとって適正な制度か見極めながら使っている。
▲風神 当社が所属する和歌山ニット工業組合で3年前からJAPANブランド事業で支援いただいた。和歌山はメリヤス生地の一大産地で国内生産の40%を占める。海外展示会への出展などのほか、提携デザイナーとの商品開発、地域でのメリヤス産業の認知を高める教育などを展開している。和歌山のメリヤス産業は何代も受け継いだ会社が非常に多く、若い後継ぎも多い。輸出・海外プロモーションと今までにない経験ができた。
▲成戸 和歌山の特産品を中心にした加工品を製造している。50歳近くになっての起業で2人で始め、それ以前に開発した梅うどん、梅干しなどを扱った。その後、梅のスイーツ化を思い立った折、商工会議所から県の元気ファンドを活用したらどうかとアドバイスを受けた。その後もいくつか制度を活用する際には、社員とともに書類の作成から取り組んだ。金銭面の支援を受けただけでなく、心の上で頑張ろうという気持ちになれたことを感謝している。
▲森川 半導体などの微細な研磨をする機械を作っている。地元印南町役場に勤め、企業誘致をしていた。用地、工場建設の借入金、社員などについて奔走して設立後、役場を退職し請われて入社した。その後研磨機がヒットしたが、利益を液晶ディスプレーの研磨機につぎ込んだところ、リーマン・ショックで大打撃をこうむった。そこでLEDなど化合物半導体の研磨機を開発しようと、経済産業省のものづくり支援事業の補助金をいただいた。販売面では、県のブランド力強化支援事業を活用し、展示会などにも出展できた。
▲及川 東京出身で日本の
農業を変えようと11年前に農業を始めた。現場からだけではなかなか農業を変えられないと思い、青果店も経営した。その経験を生かし、8年前に会社を自己資金50万円で設立。本社オフィスが必要と考え、和歌山県のスタートアップ・オフィスというベンチャー支援制度で安く借りられた。現在は農業コンサルティングや直売所事業などを展開しているが、最初に支援制度を活用していなければ今はなかった。
 
◆井上 起業を考える人にアドバイスは。
▲成戸 資料作成など、未熟でもなんとかできた。起業の機会があったらチャレンジしてみるべきではないか。
▲風神 新しいマーケットに出るときは勇気と労力を必要とするが、支援策を活用して新しい体験をしてもらいたい。
▲木村 制度を活用するにはフェース・ツー・フェースで相談するのが良いが敷居が高いかもしれない。過去にその制度を使った方に相談してみるのも一つの方法だ。
 
◆井上 支援の活用は目的でなく手段。制度を使うことで新しいチャレンジにつながることを期待する。