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一日中小企業庁in信州 信州企業の”強み”を活かして”未来”を拓く! 2014年11月28日

長野県、中小企業庁、関東経済産業局が主催する「一日中小企業庁in信州 信州企業の"強み"を活かして"未来"を拓く!」が2014年11月28日、長野県松本市のホテルブエナビスタで開かれた(協力日刊工業新聞社など)。今回はフォーラム1として長野県百年企業「信州の老舗」表彰と中小企業庁による中小企業支援施策紹介が行われ、モノづくり日本会議が共催するフォーラム2では地元中小企業などと意見交換した。意見交換会のパネルディスカッションには阿部守一長野県知事、北川慎介中小企業庁長官らも加わり、熱心な議論が交わされた。

中小の挑戦・連携を支援

今こそ投資イノベーション

長野県知事 阿部守一氏

長野県にとって今年は2月の豪雪、7月の南木曽町の土石流、9月の御嶽山の噴火、さらには神城断層地震と災害が多かった。被災された皆さまに心からお見舞い申し上げる。来年は新幹線の金沢延伸、善光寺の御開帳、再来年には諏訪の御柱もある。反転攻勢して元気な長野県にしたい。県もしっかり頑張るので、皆さんも各地域で頑張っていただきたい。
 
県は今年、中小企業振興条例を制定した。長野県の経済、地域を支えているのは中小企業の皆さんだ。そこで県として中小の挑戦や連携を支援するスタンスを明確にして、人材育成、受注機会確保など具体的な施策を通じ応援していく。
 

「一日中小企業庁in信州」の会場

また本日は百年企業「信州の老舗」表彰式も合わせて行う。表彰を受けられる皆さまはいつも順調な時ばかりではなかったはず。苦難や経済環境を乗り越えて地域の発展、産業の発展のために頑張っていただいた。しかしそれぞれの企業にとっては一つの通過点だ。これからの100年を見据えて、老舗企業の皆さまには蓄積されたノウハウを地域にも還元していただきたい。行政と一緒に地域の振興、発展、産業の活性化に協力してもらいたい。
 
さらに僭越(せんえつ)ながら提案すると、今回の表彰を社員、関係者の皆さんで、長野県の産品を使い盛大にお祝いしていただいたら良いのではないか。それが長野県の経済を元気にすることにもつながっていくと思う。

施策紹介

小規模事業者の挑戦・革新を応援

中小企業庁長官 北川慎介氏

日本全体で個人、会社合わせ386万の事業者があるが、そのうち99・7%が中小企業で、特に小規模事業者は334万と9割近い。小規模事業者は製造業で言えば20人くらい、商業サービス業では5人といったところを指す。従業員数は地域によって大きな違いがある。例えば東京では約6割が大企業で従業しているが、長野県では大企業に13%、中規模企業に50%、小規模企業に37・5%が従事されている。さらに秋田、高知、宮崎などでは大企業の割合が極端に少ない。特にこうした地域では、小規模事業者の方が経済を支えている。
 
そうした中で施策としては、地域の活性化を図るため小規模事業者に光を当てている。これは地域の雇用と密接に結び付く。もう一つの柱は日本の強みを発揮すること。国際競争で勝つために新たなチャレンジ、イノベーションを応援する。
 
具体的な施策の中で金融、税制は重要なものの一つだ。本日は百年表彰として長く事業を続けている皆さまが多く集まっておられるが、中小企業経営者にとり深刻な問題は事業継承だ。相続税には長年取り組んでいるが、個人の建物や法人の株式などいろいろと手直しを進めている。後継者問題についてもマッチングなどをエリアを広げるよう取り組んでいる。
 
小規模事業者対策としては、前の国会で小規模企業振興基本法を作った。このほど基本計画が閣議決定したが、国だけでなく、県、市町村、商工会議所や地域金融機関などいろいろな方々が役割分担して応援することが重要だと考えている。

「信州の老舗」表彰

264社が受賞・和やかに交流

阿部知事から賞状を受ける井上の井上保社長

中小企業庁長官 北川慎介氏

阿部知事のあいさつに続き長野県百年企業「信州の老舗」表彰を行った。長野県は今春制定した中小企業振興条例では優れた中小企業の顕彰などもうたっており、長年地域経済や地域社会に貢献している地元企業に光を当てようと、表彰が実現した。授賞対象はまず、長野県内での業歴が100年以上ある企業。さらに地域社会や経済で貢献した企業が対象となった。厳しい経済状況でも地元雇用を確保し、地域活動に積極的に参加したことなどを評価した。
 
今回受賞したのは264社で、時間の都合から相馬商事(佐久市、相馬栄治郎社長)、和田正(長野市、和田直之社長)、井上(松本市、井上保社長)、スーパーさかや(下條村、下嶋一英社長)の4社が登壇し、阿部知事、推薦団体代表者らから賞状・商品を受けた。賞状は飯山市の伝統和紙「内山紙」、記念品は木曽地域の漆器技術による漆塗りの楯。
 

パネル展示

受賞企業を代表して井上社長が「老舗各社は先代から受け継いだ社業の発展のため全身全霊を込め企業経営に携わってきたことが、結果的に地域社会や経済の発展、伝統工芸品の伝承などに寄与したのではないか。大過なく商いが続けられたのは地域の皆さまや関係各位の力添えがあったから」と感謝した。さらに「長野県には若い企業を含め素晴らしい企業がたくさんある。老舗として模範となるには微力だが、長野の産業が100年、200年と発展するよう努力する」と決意表明した。
 
会場には各社を紹介するパネルを展示。和やかな交流会では参加各社が新たな連携を模索した。

意見交換

●ニッチ勝負100年企業目指す 関野氏
●長野、珠玉の加工技術蓄積 西澤氏
●開発力の強化が最重要施策 萩本氏
●信州食品開発センターに期待 湯川氏

起業時にも制度活用
支援事業 工場建設・ブランド強化に生かす

中小企業との意見交換

【パネリスト】
■システムプラン会長 関野友憲氏
■西澤電機計器製作所社長 西澤孝枝氏
■多摩川精機副会長 萩本範文氏
■湯川酒造店社長 湯川尚子氏
【コーディネーター】
■長野経済研究所調査部長 小澤吉則氏
▼写真:06 中小企業との意見交換


◇小澤 長野県の中小企業は繊維産業から精密、今日に至るまで時代の移り変わりにマッチしてきた。グローバルな視点と地域の視点を踏まえ、まず各社の事業内容やふるさとへの思いを聞かせていただきたい。
 
◇関野 ソフトウエア開発のほか企業システムのサポート、ICタグを使ったシステムも手がけている。ニッチ領域で勝負している。創業33年目だが、本日の表彰を拝見し100年企業を目指したいと感じた。これまで危機は3回あり、バブル崩壊の教訓で理念型の企業に転換できたし、ITバブル崩壊でお客さまが求めるのはソフトだけではなく良いサポートだと気づきビジネスを転換した。リーマン・ショックではリストラせず社内で教育する力を持てた。ピンチはチャンスとなった。中小は地域の雇用を守ることが大切だ。
 
◇西澤 電気計測器メーカーとして先代の父が1960年に創業した。2000年に父がこれからの第2の領域は医療・健康・福祉機器だと宣言したのを覚えている。信州大繊維学部を先代が訪ね、そこのシーズと当社の技術で自動ページめくり器を市場に出したのが05年。その後東京の医療機器メーカーを子会社化するなどして、モノづくりは長野で、企画・販売は東京で、といった絵を描いている。長野は珠玉の加工技術が蓄積された特色ある県だと思う。
 
◇萩本 戦前に創業し、戦後は防衛産業にも事業を広げた。現在は精密制御機器やモーター、センサーなどが主力で開発、マーケティングに力を入れている。そもそも地域経済の救済が創業の理念だった。事業場所を変えず地域を守ることを最優先すると、結果として開発力の強化が最も重要な施策となり、新事業、新製品が生み出せる。
 
◇湯川 日本酒製造を360年近く続け、16代目として社長になり4年目だ。先代から県外へ積極的に販売し、今では県外売り上げが40%。造る人、売る人、飲む人、皆が幸せになる酒を造りたい。実は社長になって2年足らずで製造場で火事を起こしてしまった。古い電気系統の劣化からだったのだが、地元消防団ほかの皆さまの初期消火で全焼を免れた。地域に恩返しする思いも酒造りに込めている。
 
◇小澤 皆さん自社のありたい姿が明確で、その時々のニーズに沿った製品を開発しておられる。
 
◇萩本 日本は新興国と対抗した労働集約型の産業ではもはや通用しない。知恵が勝負を分ける知識集約型の産業を目指すべき。長野県を航空機システムの産業基地にしようと運動を続けているが、産業創造には一企業だけでなく地域や国家の戦略も必要だ。
 
◇西澤 中小企業1社ではグローバルでは勝てない。世界で戦うため「連携」というキーワードで経営してきた。県の技術面での手厚い支援もフル活用している。
 
◇関野 中小はヒト、モノ、カネは十分ではないが、自分たちの技術で戦えるフィールド、お客さまが求めているフィールドはたくさんあるはず。大手が手を出さない分野もあるし、少子高齢化に対応した安心・安全をサポートするビジネスも、地域と密着した中小企業のミッションだ。
 
◇湯川 経営を引き継いだ時は手探りだったが、県の支援など案外自社で使えるものが多かった。これからも活用して安定した企業活動を続けたい。県の「しあわせ信州食品開発センター」整備にも期待している。
 
◇小澤 知事は中小企業振興条例のポイントは「挑戦と連携」としている。皆さんからもそうした話をうかがえた。