新産業促進検討会, 最新活動報告

第3回新産業技術促進検討会 2015年1月21日

新しい価値・競争力獲得へ
製造業において、今後、IoT/CPSに対して求められる課題と取り組み

モノづくり日本会議(事務局=日刊工業新聞社)は1月21日、東京都千代田区のホテルグランドパレスで第3回新産業技術促進検討会「製造業において、今後、IoT/CPSに対して求められる課題と取り組み」を開いた。IoT(Internet of Things=モノのインターネット)の広がりには、実世界とサイバー空間が緊密に結合されたシステムであるCPS(Cyber Physical System)の進展がカギを握っている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の取り組み、製造業におけるIoT/CPSの活用と最新課題から、今後の展開を探った。

今後のITの課題と挑戦に向けたNEDOの取り組み

ヘルスケアと物流に着目
  新エネルギー・産業技術総合開発機構電子・材料・ナノテクノロジー部長 
岡田武氏

世界のトレンドをみれば、ITが経済成長の源泉なのは自明だ。その中で今、取り組んでいるのがCPS/IoT。実空間からサイバー空間にデータを取得し、ネットワーク共有、分析、制御として実空間に戻すという全体システムだ。

2020年には、情報爆発により35ゼタバイト(ゼタは10の21乗)、1兆個センサーの社会になるとデータのボトルネックが発生する。センター、エッジ(端末)、通信それぞれにおけるデータ処理のボトルネックの解決が迫られる。
 
CPS/IoTが目指すものは全体最適化によるコストの低減にとどまらない。新しい付加価値、時空を超えるような価値の創造にある。例えば、ラピッドプロトタイピング、卓上生産、テーラーメード生産、モノづくりのサービスとの一体化などだ。
 
NEDOは人材、資金、設備など自社資源だけでは取り組みが難しい課題に挑戦する機会を提供する機能を担っている。ハイリスクな研究、CPS/IoTなど個社では対応できない総合的な技術課題への挑戦、ロードマップ策定などだ。今年度はヘルスケアと物流に着目してロードマップの具体化を検討している。
 
これからも業種や技術分野の枠を越えて、オープンイノベーションによる高みを目指すための環境作りに取り組んでいく。

IoE時代の産業革命とイノベーション

リアルワールドOSを提案
  東京工業大学院教授エージェントベース社会システム科学研究センター長
出口弘氏

IoE(インターネット・オブ・エブリシング)時代は、実世界でネットワークに結ばれたヒト・モノ・コトが自律分散協調的に機能を遂行することを、設計・実装・管理の全フェーズにわたって支援するネットワーク上のオペレーティングシステム(OS)が必須だ。そこで、リアルワールドOSというアーキテクチャーを提案したい。
 
リアルワールドOSの特徴は、プロジェクトプログラミングという並列プログラミング、マルチプロジェクトプログラミングの管理技法、シミュレーションとパーシャルデプロイメントによる設計、ワークフローと同型なデータフロー計算-の4点。ワークフローと同型の計算モデルを入れることで、ワークフローの絶えざる組み替えに対してロバストな情報処理が可能になる。目下、竹中工務店と応用に取り組んでいる。
 
リアルワールドOSが社会と産業界に何をもたらすのか。IoE時代の社会の姿としては、仕組み化された巨大で一様なサービスによりロックインされたウィナーテークオール型社会と、超多様で小さなビジネスが新たな需要を創成する社会という二つのシナリオが考えられる。
 
重要なのは内需領域で超多様なサービスのイノベーションを可能にすることだ。そうした仕組みの試作を可能とするICT環境をリアルワールドOSとして提供したい。

Cisco Internet of Everything(IoE)-IoE時代の到来とビジネス機会の創出

「和」の融合が日本の競争力に
  シスコシステムズ専務執行役員IoEイノベーションセター長 
木下剛氏

今、産業のデジタル化に注目しているのは先進国だ。デジタル化で生産性を向上させて、国内生産でも競争力を出せるという流れだ。
 
IoTを推進する企業の主な目的は可視化、予測、スピードアップだが、当社ではIoEを掲げている。モノだけでなく、人、組織、プロセス全体をデジタル化し、新しい付加価値創成につなげようということだ。
 
こうしたことを一企業、一国家でやろうとしても難しい。そこで、国際的な標準化団体による推進活動が活発化している。当社も中心企業として参加するインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)ではCPSの全体像の標準化に取り組んでいる。誰でも使えるテストベッドの提供が大きな特徴となっている。
 
IoTの世界では、生成されるデータ量が膨大だ。一方、生産現場ではリアルタイムなデータ処理が不可欠となる。そうしたことからデータ生成の近いところでリアルタイムに処理するというフォグコンピューティングに取り組んでいる。
 
製造業のデジタル化はこれまで、分業による生産性向上のためにデータ・情報の共有を進めてきた。次のステージに必要なのは俊敏性と適合力を備えた競争力向上のための場の共有だ。
 
デジタル化に日本流の「和」を融合させれば、それが日本の競争力につながる。

インダストリー4.0―ドイツが進める国策とその狙い

人と機械の協調で全体最適を
  ベッコフオートメーション社長 
川野俊充氏

当社はPCアーキテクチャーを使った制御装置を、世界60カ国で展開するドイツ企業。ドイツ政府の戦略プロジェクトであるインダストリー4・0推進にも参画している。IoTのうち、製造業、生産現場に関わる部分、協調領域をうまく横展開し、産業全体の底上げを図る。規格化、標準化をイノベーションの源泉と捉えるのがインダストリー4・0の基本的な考え方だ。
 
インダストリー4・0は、決して人を排除する完全自動化の世界ではない。人間と機械が協調して一緒に働く姿を描いている。現状は各工程ごとに最適化された結果の算術和だが、これを単一モデルで全体最適することを目指している。日本の取るべき対応だが、守るべきは局所最適化。オンリーワン、一品物、生産性が非常に高いものは必ずしも標準化の必要はない。攻めるべきは日本版I4 0の標準化を国策で進めることだ。
 
ドイツの動きと協調できるところもある。お互い非常に得意としているフィジカルレイヤーを一緒に押さえていく。上位層とのインターフェースは標準規格に対応し、中身は独自仕様で差別化するのも一つの戦略だ。
 
ORiNという日本発の標準規格は一品物のFAアプリケーションを汎用化することができる。CPSの実装用アーキテクチャーとしてORiNの検討も有効だと考える。

オープンFAソフトウェア基盤技術"ORiN2"の紹介

リアルタイム連携の実装基盤
  デンソーウェーブ制御システム事業部技術1部室長 
犬飼利宏氏

当社はPCアーキテクチャーを使った制御装置を、世界60カ国で展開するドイツ企業。ドイツ政府の戦略プロジェクトであるインダストリー4・0推進にも参画している。IoTのうち、製造業、生産現場に関わる部分、協調領域をうまく横展開し、産業全体の底上げを図る。規格化、標準化をイノベーションの源泉と捉えるのがインダストリー4・0の基本的な考え方だ。
 
インダストリー4・0は、決して人を排除する完全自動化の世界ではない。人間と機械が協調して一緒に働く姿を描いている。現状は各工程ごとに最適化された結果の算術和だが、これを単一モデルで全体最適することを目指している。日本の取るべき対応だが、守るべきは局所最適化。オンリーワン、一品物、生産性が非常に高いものは必ずしも標準化の必要はない。攻めるべきは日本版I4 0の標準化を国策で進めることだ。
 
ドイツの動きと協調できるところもある。お互い非常に得意としているフィジカルレイヤーを一緒に押さえていく。上位層とのインターフェースは標準規格に対応し、中身は独自仕様で差別化するのも一つの戦略だ。
 
ORiNという日本発の標準規格は一品物のFAアプリケーションを汎用化することができる。CPSの実装用アーキテクチャーとしてORiNの検討も有効だと考える。

ものづくりの将来像とFA統合ソリューション e‐F@ctory

現場の知恵をフィードバック
  三菱電機名古屋製作所FAシステム第二部長 
楠和浩氏

当社名古屋製作所は工場で使うさまざまな機器を網羅し、手がけている。よりよい工場をつくり、現場の改善に貢献することが使命だ。
 
情報技術による生産性や品質の向上では、データの通信、収集、解析という三つの技術に注目している。そこでは、現場の知恵をフィードバックして工場全体をつくっていくという日本の良さを残すことが不可欠だ。
 
当社はFA統合ソリューション「e―F@ctory」(イー・ファクトリー)を打ち出して約10年が経過する。基本コンセプトは開発、生産、保守の全般にわたるトータルコストの削減という、今のIoTの世界とほぼ同様の考えだ。
 
全てを当社だけで対応するのではなく、約300社とアライアンスを構成して、最適な解決策を提案している。これまでに約100社・5000件以上のシステムが稼働している。
 
IoT、ビッグデータというが、製造現場の末端のデータを全て集中的にクラウドに上げるのは無理がある。
 
現場サイドで対応すべきデータ解析の仕組みと、上位の情報系で求められるデータの種類は異なっており、中間で1次処理することが有効な解決策になる。
 
製造業の情報化は不可避だ。ただし、情報化を進めるに当たっては、ノウハウを含む各現場ごとの違いを考慮した対応という点に留意が必要だ。