その他事業, 最新活動報告

モノづくり体感スタジアム2014 2014年8月29、30日

理科実験や工作体験

青山学院大学青山キャンパス(東京都渋谷区)8月29・30日開催

モノづくり日本会議と日刊工業新聞社は2014年8月29、30日、東京都渋谷区の青山学院大学青山キャンパスで「モノづくり体感スタジアム2014」を開いた。同時開催の「ワークショップコレクション10」(NPO法人CANVAS主催)と合わせ、子どもたちとその家族など約5万7000人が来場した。モノづくり体感スタジアムにはモノづくり日本会議の会員企業など8ブースが出展。参加した子どもたちは、理科実験や工作を体験し、自分の手でモノをつくることのおもしろさを知り、歓声を響かせていた。


オークマ

手作りおもちゃを作って遊ぼう

集中力が必要なバリ取りに黙々と取り組む

型抜き・刻印・バリ取り

オークマの「手作りおもちゃを作って遊ぼう!」は、真ちゅうのプレートを型抜きしてコマにし、さらにストラップを取り付けて完成させる30分弱の工作プログラム。金属加工は大人でも普段なかなかできない体験といえる。

まず、金型を取り付けたバイス(万力)で真ちゅうの板を型抜きする。型はクマとシャチの2種類。クマはオークマに、シャチは名古屋のシンボルに由来する。非力な子の場合、抜く直前に少し苦労することもあるが、板から動物の形が抜けたときにまず感動。続いて型に当てて、動物の線画をハンマーで刻印する。

次に工作物の周囲をヤスリで削ってバリ取り。金づちで自分の名前などの文字を刻印して、仕上げに紙ヤスリで磨く。磨いた部分がピカピカになるのを見て、夢中で磨く子も少なくない。

磨き上げたら中心にポンチで突起を作る。この突起がコマの軸となって、くるくると回る仕組みだ。実際に回してみると、クマやシャチという非対称な形状のプレートがコマになることに、驚かされる。

最後に端のほうに穴をあけてストラップを取り付けて完成。東京都北区からやってきた小学2年生の陳明康さんは「思ったよりも簡単だったけど、(バイスの)ハンドルが重くてちょっと難しかった」と、ピカピカのクマをなでていた。

キヤノン

レンズ工作教室

自分で作った自慢のレンズで撮影会

カメラに自作レンズ装着パチリ

キヤノンの「レンズ工作教室」ではまず、カメラの基本的な原理を知ってもらい、そのあとデジタル一眼レフカメラにマウントできるようなレンズ部を工作し、自作レンズを装着したカメラで早速撮影会。友だちや保護者、会場に置かれたオモチャなどにレンズを向けてパチリ。ストラップを首からかけて、部屋中の被写体を狙う姿は、みんながもう立派なカメラマンだ。ディスプレーで出来栄えを確認して、撮影した中からお気に入りの何枚かをその場でプリントしてもらい、記念のお土産として意気揚々と持ち帰った。

デジタルカメラに虫眼鏡のレンズと厚紙を筒状にして作った簡易のレンズを装着し、虫眼鏡の位置を前後させることによって、ピント合わせに挑戦。ピントがバッチリ合った一枚が表示されると思わず歓声が上がる。

石川大悟さん(小2、横浜市青葉区)は「楽しかった」と満面の笑み。家ではもっぱらゲーム機のカメラ機能を使って、いろいろなものを撮影しているというから、既に初心者ではない様子。レンズの工作にはプラスチックレンズや方眼紙などを使うが、作業にてこずる様子も見られない。もともと図画・工作は大好きだというが、「紙に設計のための線を引いて、出来上がりを想像するとわくわくする」と語った。

コマツ

こども鋳物教室 金属を溶かしてストラップを作ろう!

ベテラン技能者がやさしくアドバイス

出来栄えにも満足

コマツの「こども鋳物教室 金属を溶かしてストラップを作ろう!」は、建設機械にも多く使われる「鋳物」とはどんなものか、作り方を含めて体験できるプログラム。融点が低く加工がしやすいスズ系の金属を会場内のブースで溶かし、参加者が思い思いにデザインした型に流し込み、ストラップやアクセサリーなどを作った。

鋳造技術の一端に触れた子供たちは、銀色に輝く鋳物を手に取り、手触り、重さから体験することができた。「鋳物ってどういうものか初めて知った」という紀藤彩也子さん(小5、東京都目黒区)はリボンをかたどったアクセサリーを作り、出来栄えにも満足の様子。もともと図画工作の授業も好きで、モノづくりには興味があるという。「来年も参加したい」と目を輝かせる。

昨年まではブルドーザーのミニチュアなどを用いて、建機のパワーを体感してもらうプログラムを披露していたが、今回は重量物を取り扱う建設機械に欠かせない素材、鋳物にスポットを当てた。鋳物はコマツの屋台骨を支える、モノづくりの原点であるという。

例年と同様、モノづくりなどの展示施設である「こまつの杜(もり)」(石川県小松市)のスタッフらが参加者に対応した。スタッフには同社OBも多く、子供たちとの触れ合いを楽しんだ様子。

東レグループ

センイの不思議

色水を透明にする中空糸膜にびっくり

繊維にもいろいろ

東レグループは「センイの不思議」と題して、繊維の面白さ、生活の様々な場面での使われ方などについてわかりやすく解説した。衣服に使われる繊維にもいろいろな種類があるといったことだけでなく、飛行機や建築などに繊維が幅広く応用されていることを知り、参加者は歓声を何度も上げた。

衣服に使われている繊維をまず顕微鏡で拡大してみる。ウールやシルクなどの天然繊維や、植物を原料としてつくられるレーヨンなどの再生繊維、石油から作るポリエステルなど合成繊維などのそれぞれの特徴が分かりやすく解説されていく。撥水はっすい性のある繊維については実際に水を落として、その性能を体感した。

ともに千葉県市川市から来場した吉松花優さん(小4)、古本葵さん(小3)の二人は、「いろいろな繊維ことを知って面白かった」を笑顔をみせる。また中空糸膜を使った水の浄化の仕組みなどについても、日本だけでなく世界各地で応用されていることを知り、感心することしきり。

また人工衛星から自転車、テニスラケットまで多様な用途がある炭素繊維についても、引っ張り試験器で強度を調べるほか、参加者が手で引っ張って丈夫さを体感した同伴した保護者も繊維のマメ知識を身につけてすっかり得した様子。

日本航空電子工業

ジャイロってなんだろう?作って体験してみよう!

手製のジャイロの動きをじっくり観察

コマの原理応用仕組みに驚き

日本航空電子工業は「ジャイロってなんだろう?作って体験してみよう!」をテーマに、同社の主力製品の一つであるジャイロをわかりやすく解説し、さらに仕組みがわかるよう簡単なジャイロスコープを工作して、体験してもら合うプログラムを提供した。

まずコマの原理を使ったジャイロが、航空機などにどのように使われているかといった解説に、参加者は熱心に聞き入った。

さらに紙とプラスチックなどを使い、ジャイロスコープを工作。できあがったジャイロスコープを傾けると、傾いた量に応じて針が動き、どれだけ傾いたかがすぐにわかる。こうした仕組みが応用されて、例えば航空機の運航を正確、安全に行えるようジャイロが働くことを参加者は体験した。

参加者の一人、盛野嶺英さん(千葉県市川市、小6)は「ジャイロの仕組みが面白かった」といい、目を輝かせる。学校の授業でも工作は得意で、モノづくりにも関心がある様子だ。参加した子供たちはジャイロの仕組みに驚いたり、もっと工夫を施そうとしたり。その楽しそうな様子に目を細める保護者からは「開催時期が8月末だったのが少し残念。子供たちの夏休みの自由研究に使える興味深いテーマだったのに」といった声も聞かれた。

わくわくドキドキする未来を考えよう

文章と絵で表現
ネイチャー・テクノロジー研究会

自分が使う電気は自分で作るの」

モノづくり日本会議ネイチャー・テクノロジー研究会は、最小の負荷で持続的に循環する自然界の営みを学び、そこからあらたなテクノロジーを取り入れるための手法や、環境制約条件が厳しさを増す中でどのように「心豊かな」暮らしを実現するかなどについて、知見を深めながら、その成果を広める活動を展開している。体感スタジアムへは、子どもたちへの環境教育・啓発活動の一環として出展している。

ワークショップ「わくわくドキドキする未来を考えよう!!」ではまず、地球環境の大切さを分かりやすく解説することと併せて、自然や生き物のすごい技をクイズを交えて紹介する。続いて、2030年の心豊かなライフスタイルを文章と絵で表現してもらうというプログラムだ。

絵を描くのが好きな松本華季さん(小2、東京都足立区)は、人がハムスターのように輪を回して発電した電気でロボットを動かして遊ぶスタイルを描いた。「想像しながら描くのが楽しかった。初め、ちょっと大きさを失敗したけどやり直したらうまくかけた」と仕上がりに満足した様子だった。

環境問題への対応というと、我慢を強いられるイメージがある。どうすればわくわくドキドキする心豊かな暮らしになるのか、私たち大人が子どもたちの発想から学ぶことは少なくない。

子どもコマ大戦

土俵で真剣勝負
全日本製造業コマ大戦

同時に回して、先に倒れるか、土俵から出てしまったら負け

全日本製造業コマ大戦の「子どもコマ大戦」は用意されたコマの部材を自分で選択して組み立てて、そのコマで8人参加のトーナメントを戦う。プログラムは1回45分ほどで、2日間で13回開かれた。各回の優勝コマは来年2月に開催される全日本製造業世界コマ大戦の会場で展示される。

コマの部材は軸、円盤状のベースプレートのほか、バネプレートやプラスチックのスポンジ、デコレーション用のキラキラフィルムなど。ベースプレートの素材はステンレス、アルミニウム、ケミカルウッドの3種類。

「ベースは低い方が強いけど、低すぎると土俵に引っかかりやすくなるよ」「重いのを下にするとよく回るよ」。コマを作る際には、係からどうすれば強いコマになるのか説明がある。

できあがったら、いよいよ勝負。専用土俵で一対一、同時に回して、先に倒れるか、土俵から出てしまったら負け。おとなの大会と異なり、自作のコマが相手に奪われることはない。勝てばうれしく、負ければ悔しいのは当たり前。勝負に負けて悔し泣きする子もいるが、それだけ真剣に取り組んだ証しなのだ。

29日の午後の回で優勝した小笠原奏さん(小3、東京都世田谷区)は勝因について「係の人のヒントをよく聞いて工夫した。軸の高さに注意した」とうれしさの中にも冷静な分析を語った。

LED花火をつくろう!

電子工作に悪戦苦闘
芝浦工業大学地域連携・生涯学習センター

保護メガネ越しの厳しい視線はまるでプロの技術者

芝浦工業大学地域連携・生涯学習センターの「LED花火をつくろう!」は25個の発光ダイオード(LED)を花火のように光らせる電子玩具を作るという内容。マイコンのプログラミングは事前にセットしてあるが、それ以外は子どもたちが自分で組み付ける。LED素子のほか、コンデンサーやスイッチなどの部品を基板にハンダ付けし、スイッチを入れて点滅したら完成だ。

プログラムは1回2時間。解説と注意事項の説明が終わると工作開始。ハンダ付けの経験がある子どもは2割以下だが、8割以上ができるようになるという。芝浦工業大学の池田勝さんは「失敗してもやり直せばいい。モノづくりを楽しいと思ってほしい」と話す。

電子工作はおとなでもほとんど経験がない人も少なくない。悪戦苦闘するわが子を前に「手伝ってあげたいけど、私には無理なので―」というお母さんも。逆に、手伝おうとして断られる保護者も見られた。

10人中、一番乗りで完成させた西岡優芽さん(小5、東京都世田谷区)は「(LEDの)プラスとマイナスの向きを間違えないようにするのが大変だった。スイッチを入れるときはドキドキした」と点滅する電子花火を眺めてにこにこ顔。「図工はあまり好きじゃなかったけど、またやってみたい」と、お父さんのほうを振り返った。

造形 絵画 科学… ワークショップコレクション

NPO法人CANVASが主催するワークショップコレクションは子どもたちの創造力・表現力を刺激するクリエーティブ・ワークショップの全国普及と発展を目的としたプロジェクト。今回で10回目の開催となった。造形、絵画、音楽、科学など100を超えるワークショップが青山学院大学青山キャンパスに集結、多彩なプログラムが展開された。

広がるデジタル技術身近に

対話型ロボットPepperも登場

デジタル絵本

今回の特徴は、まずデジタル絵本、プログラミング体験などに代表される、広がるデジタル技術に対応したワークショップが充実してきたことが挙げられる。子ども向けの新しいデジタル表現手法としてさまざまな試みが登場していることを背景に、40カ国200作品以上のデジタル絵本に触れられる「国際デジタルえほんフェア」が実施された。

また、CANVASのプログラミング学習普及プロジェクト「PEG」ブースでの講習会や体験コーナーも充実が図られた。プログラミングを行い、操作することで、コンピューターを自分のものとして使うことのおもしろさに触れる格好の機会となっていた。

石戸奈々子CANVAS理事長はワークショップコレクションが10回目を迎えるに当たって「一つひとつのワークショップの質が年々向上してきた」とし、「次の10年を見据え、『広がり』を意識した」という。

その一つが今回「クリエイティブキッズデイ」として、青山キャンパスだけでなく、京都、名古屋など全国各地で150のワークショップを同時開催したこと。子ども向けワークショップを全国に広げていくとこと、さらには積極的に海外に発信していくことに力を注いでいる。


斬新で好奇心引き出すプログラムに高い評価

来場者投票賞に選ばれた「羊毛でつくってみよう ハッピーハムスター」

30日の一般公開終了後に「ワークショップコレクションwithモノづくり体感スタジアム」出展ワークショップを対象とした「キッズワークショップアワード」が発表された。

同アワードは子ども向けワークショップの普及・発展を目的にしており、今回で5回目。子どもたちの創造力や表現力を強く刺激する創造性、これからの時代に子どもたちが必要な力や視点を養う時代性、これまでにない新しいアイデアを取り入れた独自性の三つの視点を中心に審査する。

審査員6人による審査の結果、kodomo×ピスタチオの「夏の終わりの妖怪たち―百鬼夜行絵巻作り」が最優秀賞に、国境なき医師団・日本の「国境なき医師団になって病院をつくろう!」と、トヨタ自動車くるま育研究所×Future Catalystsの「くるま育研究所―みんなでクルマをつくってみよう!」が優秀賞に輝いた。また、来場者の投票で選ばれる来場者投票賞には、羊毛フェルトクリエーターの酒井博美さんの「羊毛でつくってみよう ハッピーハムスター」が選出された。

そのほか審査員特別賞の4件を含め、いずれのワークショップも斬新でありながら奇をてらったものではないアイデアに基づいて構成される。子どもたちの好奇心をうまく引き出し、自ら考えて表現させるワークショップが高い評価を受けている。