新産業促進検討会, 最新活動報告

農商工連携勉強会inビッグサイト 2016年6月15日


産業技術で「農」ニーズに対応

 先端農業連携創造機構、モノづくり日本会議、日刊工業新聞社は6月15日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「農商工連携勉強会inビッグサイト」を開催した。農林水産省の補助事業で先端農業連携創造機構が実施主体となる「農業界と経済界の連携による先端モデル農業の確立実証事業」(先端モデル事業)は、経済界の技術を農業に生かして生産性向上を図る技術開発について3年以内での実用化を目指す。先端モデル事業は3年目を迎え、これまでに40のプロジェクトが採択されてきた。採択プロジェクトの事例紹介を通じ、農業界のニーズと、産業技術の新たな活用の可能性を探った。


ベルグアース 技術開発部研究開発課係長・瓦朋子氏
「機能性野菜栽培および苗生産が可能な低コスト完全人工光型栽培装置の開発」

装置導入コスト3割減目指す

  ベルグアースでは野菜の接ぎ木苗を生産している。通常は太陽光を使ったハウスで作るが、当社は10年ほど前から完全人工光型苗生産装置による生産にも取り組んできた。
 完全人工光型植物工場のメリットは季節や天候に左右されず、周年的に安定した品質の生産が可能なこと、育苗管理方法などを最適化してマニュアル化できることなど。デメリットはイニシャル・ランニングコストが高く、苗生産の需要がない時期もあるため黒字化が難しいことだ。
 我々はコストを抑えた、使いやすい人工光栽培装置が欲しいと思っていた。そこで先端モデル事業として、日鉄住金鋼板、朝日工業社、ツジコー、デザイナーフーズと連携し、新たな装置の開発と、活用のマニュアル化に取り組んでいる。
 空調の負荷を低減するパラフィン内蔵の温度コントロールパネル、抗カビ・抗菌効果のある光触媒型塗装鋼板、植物体付近を最適温度化する空調配管、栽培棚の光を均一化する高反射塗装鋼板などを導入した。また、カラフルな野菜、抗酸化能力が高い野菜など、機能性成分を保持した野菜栽培のマニュアルづくりを進めている。
 装置は3月末に立ち上がった。装置内の温度むらはどうか、LED光源の違いが生育にどう影響するかなど、品目ごとのさまざまな栽培条件を確認中だ。

 装置の導入コスト目標は既存装置の2、3割減。サイズは生産者に応じて変更可能で、小規模でもペイできるものとしたい。オプションとして、機能性成分分析や野菜の販路確保なども考えている。装置が高くて導入を諦めていた人も導入しやすくし、農業を諦めかけそうな生産者がもう一踏ん張りできるような、使いやすい装置を目指している。

IDECシステムズ&コントロールズ 
環境エネルギー事業統括部アグリシステム部技術グループリーダー・篠崎健一氏
「高溶存酸素ファインバブル水を用いた養液土耕栽培コンソーシアムの紹介」

栽培実験で収量アップ確認

  当コンソーシアムは、静岡県にある農業生産法人サングレイスがトマトの栽培と生育状態の情報収集・分析、当社は高溶存酸素ファインバブル発生装置を施工設置し、システム開発を行っている。トマトの周年栽培において、品質を安定させ、同時に収穫量増加、具体的には3年計画で全体収量12%増加とLサイズ率17%とする計画だ。高溶存酸素ファインバブル水をどんなタイミングでどのようにかん水するのかを実証実験している。
 サングレイスでは8月に定植し、翌年6月か7月に収穫を終える。2014年度は全体収量8%増。15年度10-12月は12・9%の収量増、1-3月は18・2%の収量増、4-6月に関しては5月末までの集計データとしては0・7%増だった。最も収量が落ちる1-3月の収量が18・2%増加しており、収量が落ちる時期に溶存酸素ファインバブル水の効果が示された。
 我々の目的は高溶存酸素ファインバブルをいろいろな施設園芸に普及していくこと。パプリカ、キュウリ、ピーマン、メロンなどに応用が可能だと考えている。普及においては講演などを通じ、認知度を高めることも大切になる。
 高溶存酸素ファインバブルによる収量アップのメカニズムには、まだ解明できていない部分がある。これまでに当社が行ったトマトやイチゴの栽培実験では、高溶存酸素ファインバブル水を使うと、通常の水道水と比べて根、茎の伸びなどがはっきりと現れる。葉菜類の場合、収量アップ、さらには栽培サイクルのスピードアップが期待できる。果菜類では、栄養生長と生殖生長のバランスをとることによって全体的な収量アップが見込めそうな結果が得られている。