ネイチャー・テクノロジー研究会, 最新活動報告

モノづくり体感スタジアム2016 2016年7月31日

ぼくらの、未来の、つくりかた 「笑顔・歓声 成長の証」

モノづくり日本会議と日刊工業新聞社は7月31日、東京・西新宿の新宿NSビルで「モノづくり体感スタジアム2016」を開いた。同時開催の「あんふぁん夏フェス」(主催=サンケイリビング新聞社あんふぁん)と合わせ、子どもたちとその家族など約6000人が来場した。モノづくり体感スタジアムにはモノづくり日本会議の会員企業など8ブースが出展。参加した子どもたちは、工作体験などを通じ、自分で考え、自分の手でモノをつくる“おもしろさ”を知り、会場を笑顔と歓声で埋め尽くしていた。

コマツ/キット組み立て搬送競争

油圧ショベルはバランスが命

 コマツは同社の主力商品の一つである油圧ショベルの仕組みを、25分の1のモデルを使って分かりやすく解説するプログラムを披露した。油圧ショベルが現場で作動する際に重要になる重量バランスの取り方などを学べる内容だ。
 世界最大級の油圧ショベルをモデルに、木製部品を中心に組み立てるキットを、同社スタッフが準備。同社の本拠地である石川県小松市のモノづくり体感施設「こまつの杜」などから集まったOBを含む23人が組み立て方などを懇切丁寧に指導する。アームが前方に突き出たショベルはバケットで土砂などをすくう際に、重量バランスを取ることが安全な作業には不可欠。キットでは旋回部後方に電池を搭載するなどしてバランスを取る。

 さらに隣り合わせた2人がペアとなり、2台のショベルをリモコン操作してパイプを搬送する競争も行った。川崎市麻生区の黒田健文さん(小4)は「ネジを回して組み立てる作業が最初は難しかったけれど、だんだん楽しくなった。モノづくりは面白い」と満足げ。わくわくコマツ館の織本耕治講師は「バランス計算など少し高度な内容だが、子どもたちは熱心に理解してくれる。親たちの熱気も感じた」という。

野火止製作所/アナログ的遊び大事に

こども「ちょぼきんばこ」製作教室

 子ども目線であるもの。ありそうでないもの。世の中の役に立つもの―。三つのコンセプトを基に「ちょぼきんばこ」は誕生。お小遣いなどを貯金し、集まったお金を募金してほしいとの思いもある。
 事前にカットしてある木材を接着剤で組み合わせて本体を作ったら、思い思いにアクセサリーを取り付けたり、サインペンで絵を描いたりして自分だけの「ちょぼきんばこ」が完成だ。ピンボールのようにコインが左右に転がって、最後に「ちょぼきんばこ」に入るという、遊びながら貯金ができる仕組みだ。
 「ちょぼきんばこ」を作り終えて、「自分でモノを作って世の中が良くなったら、うれしい」とモノづくりへの意気込みを語った渡部悠介さん(小3、東京都文京区)。「デジタルな世界が広がる中、アナログ的な遊びがあることも大切。手ごたえを感じている」とモノづくりの大切さを語った川上博史野火止製作所社長。「ちょぼきんばこ」を作り終えた子どもたちへ最後に「工作の達人認定証」が川上社長から手渡された。

 会場後方に展示された遊び心満載の大小のからくり貯金箱には大勢の子どもたちが集まり、コインの動きを楽しんでいた。野火止製作所の小さなファンは着実に増えている。

日本航空電子工業/電機の力知る、手作り体験

「つなげて」「ためて」蓄電ミニカーを走らせよう!

 日本航空電子工業は蓄電ミニカーを作りながら、電気をつなげるコネクターの仕組みや電気をつくる・ためる・つかう仕組みを体験できるプログラム。電気をつくるための手回し発電機、コンデンサー付き車体、モーターが別々になっており、まず電気をつなげるための配線・コネクター作りから始まる。電線のビニールをむく、ピンコンタクトを圧着機で電線に付けるなど、本格的だ。
 手回し発電機とミニカー本体をコネクターで接続して、本体のコンデンサーへ電気を蓄電させる。その後、モーター、タイヤ、ボディーを取り付け完成。
 手作りのコースでレースを行い、つなげて、つくって、ためた電気の力を自ら目にすることができる。レースで優勝した高原啓さん(小4、横浜市)は「優勝できてよかった。また参加したい」と興奮気味に語った。
 「主力事業であるコネクターについての初めてのワークショップで今後も継続していきたい」と大滝潤子企画シニアマネージャー。今回のプログラムは治具の制作など同社グローバルテクノセンターが協力した。

 蓄電した電気で豆電球とLED電球の点灯時間の差を実験するなど、電気の知識が詰まったプログラムだった。

配財プロジェクト/端材・削りくずに命吹き込む

まんげきょうで町工場のものづくりをのぞこう

 配財プロジェクトは中小製造業が集積する東京都墨田区の町工場で発生する端材や削りくずなどにもう一度命を吹き込もうと、万華鏡に活用するワークショップを実施。集められた材料はプラスチックやびょうぶ紙、皮、布、ゴム風船などの端切れ。バネやブラシなどの金属くず、緩衝材の余り物、“おゆまる”の端材もある。
 反射面を内側に組み立てられた3枚の鏡の背面(外側)にスポンジを貼って、円筒内に固定。筒の片方の端にのぞき穴、もう反対側に透明のカプセルを取り付ける。カプセルにいろいろな材料を少しずつ入れていく。のぞきながら中身を調節して、好みに仕上げていくのだが、入れすぎないのがこつだ。
 埼玉県川口市から来た中谷真花さん(5歳)は「スポンジのテープをはがすのが難しかった。きれいな模様が見えて楽しい」と、できあがった万華鏡をのぞきながらニコニコ。

 配財プロジェクトの代表を務める浜野慶一さん(浜野製作所社長)は「かつては身近にあった町工場が年々数を減らしている。地元の子どもたちが、地域のモノづくりのことを分からなくなっている」とし、「地元のこと、墨田のことをもっとよく知ってほしい」と強調する。

全日本製造業コマ大戦/手作り 手回し さあ勝負

子どもコマ大戦

 全国の製造業が集い、ケンカゴマの構造・材質などに知恵を絞り競い合う「コマ大戦」を子どもたちが体験。直径20ミリメートル以下、全長60ミリメートル以内と定められたコマを、まずは参加者が手作りする。アルミニウム、ステンレス、ケミカルウッドなどの部品を組み合わせ、重量バランスも検討する。この作業から既に勝負は始まっている。
 自作のコマが完成したら、直径250ミリメートルのケミカルウッド製の「土俵」上での戦いが始まる。行司の掛け声とともにコマを回し、ぶつかり合いながら最後まで回り続けた方が勝ち。今回は8人によるトーナメント形式で、先に2勝した方が勝ち抜ける。このトーナメントが会期中何度も開かれた。
 東京都大田区の高橋まゆさん(小3)希さん(小1)姉妹はそろって上位進出。「回すのが最初は難しかったが、やさしく教えてくれた」(希さん)、「重い部品を下にしたら強くなった」(まゆさん)と早速極意をつかみつつあるようだ。

 昨年NPO法人化した全日本製造業コマ大戦協会の緑川賢司理事長は「子どもたちの反応は上々。リアルなモノに触れる楽しさを分かっている」と目を細める。2020年には2回目となる「世界大戦」を計画している。

ネイチャー・テクノロジー研究会/自然・生き物の“すご技”学ぶ

わくわくドキドキする未来を考えよう!!

 モノづくり日本会議ネイチャー・テクノロジー研究会は、最小の負荷で持続的に循環する自然界の営みを学び、そこから新たなテクノロジーを取り入れるための手法や、環境制約条件が厳しさを増す中でどのように「心豊かな」暮らしを実現するかなどについて、知見を深めながら、その成果を広める活動を展開している。
 今回は地球環境の大切さを分かりやすく解説することと併せて、自然や生き物のすごい技をクイズを交えて紹介。続いて、2030年の心豊かなライフスタイルを文章と絵で表現してもらう。
 講師の問いかけに積極的に答えていた渡部悠介さん(小3、東京都文京区)は「理科と歴史が好き。本をたくさん読んでもっといろんなことを知りたい」と話す。弟の滉介さん(小1)は「階段を上がると電気が起きて、音と光が出て、きれいな水もつくるんだ」と未来の楽しい街の姿を描いた。

 当日3回目のワークショップで講師を務めた同研究会メンバーの池岡正樹さん(日本リファイン)は「講師役は初めて。生き生きとした子どもたちの言葉から、自分も元気をもらった。心の豊かさを大切にしながら大人になってほしい」と、子どもたちにエールを送る。

CANVAS×深沢アート研究所/自由な発想で波乗り挑戦

棒人間のサーフィン

 会場内にはサーフボードが飾られ、モニターではサーフィンをしている様子が映し出されている。会場の中心には大波がそびえたつ―。
 CANVAS×深沢アート研究所のプログラムはストローを体の芯にして、モールで頭や手足を作り棒人間が完成。スチロール板を切り抜いたサーフボートの上に棒人間を立たせたら準備完了だ。脚立の上から大きな紙を垂らして作られている波をサーフィンする。
 「最初はうまくいかなかったけど、重りをつけてうまくいってよかった。また作ってみたい」と佐々木流圭さん(小2、東京都江戸川区)。棒人間は最初なかなか波に乗ってくれない。基本的な説明をした後は、ボードの形などは子どもたちの自由な発想に任せている。
 「投げ方を変えたり、羽根の向きを変えたりトライ&エラーを繰り返して考える力を身に付けてほしい」と小川いずみCANVASワークショップコーディネーターが語るように、一度作成したボードなどは、再加工ができる。

 サーフィンをしては再加工し、時にはサーフィンをしている映像を見る。そして波乗りに成功した子どもたちは満足した様子で新宿高層ビル群にあるサーフィン会場を後にした。

リバネス/プロペラの仕組みを知る

すいすい動くホバークラフトをつくろう

 リバネスは若手研究者による出前実験教室などを通じて先端科学教育を実践する企業。今回は発泡スチロールの板材をボディーにしたホバークラフトの作製に挑戦する内容だ。
 浮上用プロペラはボール紙を切って自作する。八角形に切り抜き、各頂点から中心に向かって途中まで切れ込みを入れる。均等にすることと、折り曲げる角度がカギだ。
 穴の開いた発泡スチロールの板を重ねて機体とし、浮上用プロペラとモーター、電池をセット。机の上でプロペラを回すとわずかに浮き上がるが、フラフラと動くだけ。それを確認した上で前進用のプロペラとモーターを取り付ける。
 同社教育開発事業部の瀬野亜希さんは「同じプログラムでも講師によって伝えたい点は異なる」とし、「今回の講師は『部品からモノの仕組みや働きを理解することで、自分でモノを作れるようになる』との考え。プロペラの役割を強調するのもその一環」とプログラムの狙いを話す。
 第2回の部でいちばん勢いよく滑走したのは平本心結さん(小3、東京都江東区)の作品。「スチロールカッターで切るのが難しかった。絵を描いたり、モノをつくったりするのが好き」と、出来栄えに満足の様子。
 
 《あんふぁん夏フェス2016》
 モノづくり体感スタジアムと同時開催の「あんふぁん夏フェス2016」はサンケイリビング新聞社が発行する幼稚園児とママの情報誌「あんふぁん」、働くママと園児の情報誌「あんふぁんぷらす」の読者を対象としたイベント。この夏は東京のほか、大阪、名古屋、仙台でも開催された。イベント最大の呼び物はランドセルの試着。主要メーカー8社が最新モデルをそろえて一堂に会する。
 来春入学のためのランドセル商戦は年々早まっており、最近では8月が購入のピークだという。会場はお気に入りのランドセルを選ぼうと、試しに背負う年長園児とパパやママ、祖父母であふれかえった。

 あんふぁんとのコラボモデルを出品するコクヨステーショナリー事業本部の南花織さんによると「A4フラットファイルが入るサイズが主流。人気の色は、男児が青いステッチの黒、女児はピンク、キャメル、紫」とのこと。「身体の成長に対応できる作りであることも大切」(同)と品定めのポイントをアドバイスする。